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「じゃあ……話したい事とは……。」

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「じゃあ……話したい事とは……。」

「じゃあ……話したい事とは……。」

 

 

「二人になりたい口実だよ。私も三津との子を残したい。」

 

 

それを聞いた途端に三津の胸がざわついた。

 

 

「あの……ごめんなさい……それはまだ……。」 https://www.easycorp.com.hk/en/notary

 

 

「だろうね。ごめんね,困らすつもりはないんだ。私もね夫婦の形にこだわるのをやめようと思う。

三津を妻と言う位置に縛る方が良くないんだと思った。

三津には最期まで傍に居て欲しいし添い遂げたいと思ってる。でもそれは妻としてではなくてもいい。君が傍に居てくれるならなんだっていい。」

 

 

これが三津を想っての桂の考えだったのに三津にはそれが伝わらなかった。三津は複雑な顔で桂を見つめた。

 

 

『やっぱり妻にする程の女やないって考え直しはったんやろなぁ……。傍に居てくれるならなんだっていい?それは都合のいい女であってくれって事なんかな……。』

 

 

それが桂の出した結論なら仕方ない。自分だって関係修復だと言いながらどちらかと言うと入江の方に甘えっぱなしだ。それならいっそ入江の妻になって主人の上司に仕える立場になった方がいいんじゃないか。

 

 

「三津?私はまた君を傷付ける事を言っただろうか……。」

 

 

三津の表情が悲痛な何かを訴えてるように見えて桂は思ってる事を教えてくれと頼んだ。

 

 

「いえ,何でもありません。小五郎さんは私を妻にしなくて正解です。幾松さんを奥さんにして尻に敷かれてる方が何倍もいいですよ!じゃあ朝餉の支度にっ。」

 

 

そこから逃げようと立ち上がった三津の手を咄嗟に桂は掴んだ。

 

 

「何でそんな事を言うんだ?私が妻にしたいのは君だけだと言ったろ?どうして幾松が出てくる?君が私の妻になる気がないと言うから……それでも私は君と生きていたいからその道を考えたのに何故だ。」全く想いが伝わらない苛立ちから力任せに三津を引き戻してしまい,そのせいで貧弱な三津は引かれた勢いで尻もちをついた。

 

 

「いったぁ……。」

 

 

「っ!すまん!三津!すまん!どこが痛い?足か?手か?」

 

 

三津は自分の前に回り込んで狼狽える桂を呆然と見ていた。

自分の知っている桂はこんな男だっただろうか。

いつも落ち着きを払って堂々と振る舞って余裕を感じさせる優雅さがあって。

今の桂にそれは一切感じられない。そうしてしまったのが自分なのだと気付いた三津は放心状態になった。

 

 

「私が小五郎さんをどんどん駄目にしてます……。」

 

 

「違う元々私は駄目な男だ。今まで必死に取り繕ってただけだ……。そんな駄目な男が唯一休める場所なんだ……

みんな私の上辺だけ見てる。私はみんなが思うような男じゃない。それを曝け出して甘えられるのは三津しか居ない。」

 

 

だから先に逝かれても困ると弱々しく呟いた。

 

 

『アカン……弱ってる姿が可愛い……。』

 

 

きっと世の女はこんな色男が弱音を吐いてめそめそしていたらみっともないと幻滅するんだろうが,何でか三津はそんな男の姿に心を持っていかれるんだ。

 

 

「駄目な男過ぎて嫌いになった?」

 

 

「いえ?駄目な男は嫌いじゃないです。」

 

 

寧ろ男の弱った姿にきゅんとしてしまうのを恐ろしいほど自覚した。

吉田の時といい入江にしろ桂にしろ,自分が手を差し伸べてあげなければと思う姿に心を鷲掴みにされるのだと改めて気付いた。

 

 

『そうや……私が駄目にしてるんやなくて私が駄目な男に引き寄せられてると言うか駄目な男が寄ってくると言うか……。』

 

 

そう言う素質を持った男に惹かれるのかもしれない。そう思うと新平は真逆の人間だったなと口角を少しだけ上げた。

 

 

三津は膝で立ち上がり桂の頭をそっと胸にもたれさせた。

新平の事でうじうじしていたあの頃とは立場が逆転したなと心の中で笑った。桂の背中をとんとんと優しく叩いているとフサの小さな足音が聞こえてきた。

 

 

「姉上,桂様の朝餉はこちらにお持ちしますか?」

 

 

やはり戸は開けず外から声をかけてくる。文の教育がなっているようだ。

 

 

「そうしてくれ。」

 

 

三津の代わりに桂が返事をした。フサは分かりましたと返事をするとまた小さな足音を立てて帰って行った。

足音を立てるのも自分が近付いている事,立ち去った事を示す為だ。本当に良く出来た子だと桂は感心した。

お陰で三津にみっともなく甘えたままでいられる。

 

 

だがそこで失敗に気付いた。今朝の味噌汁は三津が作った物じゃないんだ。

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