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にやわらかい笑みが浮かんだのをみとめた。
「おれがでを絶つ……。そういう筋書きだよ」
「そんな馬鹿な」
馬鹿みたいなリアクションだが、それしかできなかった。
こいつらは、なんて馬鹿な筋書きを作ったんだ?
俊冬も俊春も、https://www.easycorp.com.hk/en/notary じつは馬鹿だったんだ。
カッコつけしいの大馬鹿野郎ってやつだ。
馬鹿馬鹿しくって、思い悩んでいた自分が愚か者に思えてくる。
俊冬が副長とおなじ髪型に、俊春がおれとおなじ髪型にしていたのは、そういうわけだったのだ。
「そうだな。馬鹿だよな。だが、あいつとおれにとっては、その馬鹿なことが生きがいなんだ。それが、使命であり、生きてきた意義なんだ」
かれがちかづいてきた。懐の内に入ったところで、立ち止まった。
「きいたか、相棒?こいつら、マジで馬鹿だよな?」
左脚許でお座りしている相棒に同意を求めた自分の声が、涙声になっていることに気がついた。
「くそっ!そんなの勝手な思い込みじゃないか。いらんお世話ってやつだ。副長だっておれだって、おまえらを犠牲にしてまで生き残りたいなんて思いやしない。有難迷惑だ」
自分でもいっていることが支離滅裂だってわかっている。
それでも、兎に角いいたい。なんでもいいから、馬鹿に馬鹿なことだっていってやりたい。わからせてやりたい。
「馬鹿でごめん。それから、有難迷惑だってこともわかっている。しょせん、おれたちのエゴだってこともね。ミスター・ソウマだって、きみとおなじことをいうに決まっている」
「だったら、どうして?」
「頼みがあるんだ」
「ハジメ君。きみと副長、それから兼定兄さんに、頼みがある」
「冗談じゃない。こっちの頼みをきく耳すらもたないっていうのに、おまえの頼みだけきいてもらおうっていうのか?ムシのいいことをいうなよ」
「あいつのことを頼みたい。おれにかわって、あいつを護ってほしい」
かれは、切実に訴えてきた。
俊春は、俊冬が自分のことを嫌っているといっていた。
が、ぜったいにそんなことはない。
「断る。なにゆえ、おまえのかわりをしなきゃならない?冗談じゃない。それは、おまえの役目だろう。おまえが責任をもって、かれを最後まで護れよ」
自分でも意地悪なことはわかっている。わかってはいるが、きいてやるつもりはない。
おれは、間違っているのだろうか?
「あいつまで死ぬ必要はない。もちろん、きみもだ。この戦いがおわったら、きみと兼定兄さんとで副長とあいつを連れ、国外に逃亡してほしい。きみ自身の死は、絶対的なものじゃない。どうとでもなるだろう?だから、どこかにいってほしい」
「そんなこと、おまえにいわれなくったってそうするつもりだ。まえにいったよな?でどこかにいこうって。副長もくわえてみんなでいこう」
「きみを暗示にかけたり、ましてや危害を加えて無理矢理従わせたくないんだ。生きる気のない者の意志を覆すのは難しい。きみ自身、それを何度も体験しているだろう?受け入れてくれ。そのほうがラクになる」
近藤局長がそうだった。説得ができなかった。
そして、だってそうだ。
京で散っていいという、かれの気力をくじくことはできなかった。
ダメだ。
おれではとても俊冬の説得ができない。
近藤局長のときと同様である。
おれでは、とてもどうにかできるものじゃない。
近藤局長のとき以上に、無力感に苛まれてしまう。
いつの間にか、かれからをそらしてうつむいてしまっていた。
「許してくれ」
おれの肩に掌が置かれた。
がある。
「謝る相手を間違っているだろう?」
「そうかもしれないな」
「俊春は、かれは……。かれのことを思うと、やりきれないよ」
「ああ、わかっている。ハジメ君、あいつはきみが思っているほど弱くない。ただ、独りぼっちにしたくないんだ。あいつは、おれがいなくてもやっていける。だが、おれは、おれは……。最近のあいつは無茶をしすぎている。その理由もわかっている。あいつに何かあれば、おれが生き残るようなことになれば、おれはダメだ。おれの方が、あいつよりずっとずっと弱いから」
肩にのっているかれの掌が震えている。
「ハジメ君、お願いだ。あいつだけは死なせたくない。あいつを死なせたくないんだ。あいつの側にいて、護ってくれ。おれの後を追わないよう、寄り添ってやってほしい」
に涙があふれたかと思うと、堰を切ったように流れ落ちはじめた。
「あいつがいつまで生きられるかわからない。いまだってギリの状態だ。この戦いがおわったら、あいつは以前のようには動けなくなるだろう。寿命だって縮まっている可能性がある」
涙同様、言葉が溢れてくるようだ。
『を削っている』
先日、俊春と話をしていたことである。
「俊春は、おまえが自分のことを嫌っているといっていたが?」
ふと、そんなことを口走っていた。
いまのかれをみれば、どうかんがえたって俊春を嫌っているようには思えない。
「いや……。嫌っているように見せかけて……、いや、ちがうな。おれが自分自身にそういいきかせてきていることだ」
「おまえ自身に?どういう意味だ?」
かれは、ほんの一瞬だけ
俊冬の
おれの問いをスルーし、かれはおれの死んだ後、あいつがきみになりすまして島流しにあい、数年すごして適当な時期にみずからの